身も蓋もないハナシ

どうやら余程ドラスティックな変化が起きない限り、次のクルマも中古車になりそうだ。過去、新車中古を問わず買い替えには常に痛い目に逢わされて来たのだが、「さて次のクルマは」と考え始めるとやはりいろんな人の意見を参考にしない訳には行かない。

そもそも「自動車評論」なんてのは、オレが創刊から愛読している「カーマガジン」(創刊時は「スクランブル・カーマガジン」)では入り込む余地の無いモノだった。ライターは社員か外注で、インプレッションは書いていいが、評論は読者に任せると言うのが編集方針なので、一応写真は業界老舗の「カーグラフィック」と互角の材料を提供するが、決して「これが極め付け、全人生を投げ出しても買うべし」とは言わないのである。

ところが徳大寺のじいさんが「間違いだらけ」を定期的に出版し始めて、全車徹底批評があまりにも気持ちよかった為に(当時はバブル期へ向かう途上だったので、各メーカー思いっきり好景気にテンションが上がり、訳の分からん派生車種やムダな販売チャンネルの拡大が大流行だった。)自動車評論家なんてのはクルマをすべてぶった切るのが商売だと思ってた。

ところが福野礼一郎には違った視点があった。学生時代に中古外車ブローカーをやり、70年代のアメ車にはまった経験、スーパーカーを実際にドライブする世代で、ちょっとオレの知ってるクルマ関係者とは一線を画してるのである。

これから中古車選びに掛かろうとするモノにとって「中古車は車種より程度」だの「極上車は中古車屋の努力の結果」「中古車はクルマより人を見抜け」だのとやられたら、意気阻喪してしまうなあ。いちいちごもっともだけど・・・

「いよいよ自動車ロン」福野礼一郎双葉文庫・¥667