作家の苦悩

世界のパワーバランスが変ると、それをネタにしている作家も苦労するようだ。

トム・クランシーは保険屋さん上がりで、自分でも相当勉強したらしく、米軍の解説本まで書いている。最近は手が足りないのか、国際関係論の共著者と組んでいるが、この手のテクノスリラーは敵の設定が難しい。しかも本人が強固な共和党員なのかどうかも不明だが、次の大統領選で民主党有利が伝えられる昨今、現場をアフリカに設定したり(有形無形に合衆国のチカラがそこにも及んでいる訳だが・・・)悪者は政府ではなくテロリストや狂信者だったり、日本の外務省がウラで糸を引いてたり、諜報機関の上層部がみんなプライベートで悩んでたりと、とにかく大変なのだ。

そういう意味では、空軍ウォッチャーに専念し、ミサイルが飛んで来たら全部敵というデイル・ブラウンは楽かも知れない。

「聖戦の獅子・上下」トム・クランシー 新潮文庫 各¥629