毒書日記13

アメリカ車はなぜ日本で売れないのか」 奥井俊史 光文社 ¥1000

タイトルに惹かれて買ってみたが「馬鹿な事聞くモンじゃない。分かり切ってる事だろうが!」と言いたくなるところを、現場で実際にやってる人間がどう考えているのかが知りたいと思った。とは言っても著者は日本人である。トヨタの販売畑からハーレーダビッドソンジャパンの社長になった人だ。ほんとはGMあたりの販売担当重役あたりの考えが聞きたいモノだ。

要旨をかいつまんで言えば「アメリカには長い歴史はないが自動車産業を揺籃期から培って来た自負心がある。だから政治でも外交でも輸出産業でもパワーポリティックスで押し通して来た。すなわち『どうだでかくて立派だろう?だからアメリカ製品はいいのだ。だから文句言わずに買え!』という事だ。それに比べて日本市場は、最初こそ欧米車のノックダウンやライセンス生産から始めたが、いつの間にか自国の市場に合わせた、きめ細かな品質やサービスを育て上げて来た。それが翻ってアメリカ市場でもおおむね好評を博している。そこへ『貿易不均衡だ、ごるぁ。もっとアメリカ様の商品も買え!』と土足で上がり込んで来て、がさつな製品を押し売りしようとすれば反発を招くのはあたりまえだ。」

まあ、概してクルマに少しでも興味のある人なら納得できる内容ではあると思う。

但し、筆者がハーレダビッドソン日本法人の社長なせいもあろうが、自社製品に関してはひいきの引き倒しになってるのはちょっと頂けない。
オレの考え方としてハーレーと国産バイクは違うジャンルの製品なのであって、いまハーレーが売れまくっていて国産スポーツバイクが元気ないのは、日本人に精神的な余裕のようなものが出来て、青筋たてながら300km/hで走るのが何となく大人げなく思われている為ではないか?ハーレーが若い層にウケるのはストリートファッション(オレのようなオヤジから見ると実にだらしなくて汚いのだが)の一環。年寄りにウケるのは進駐軍カブレや警官コンプレックス以外の何ものでもないと思う。