特殊だと言う事

最近は、精神科医が簡単に病名を決める時代なのだそうだ。もちろん精神科医とて商売、ましてや開業医ともなれば、投薬の量やカウンセリング、各種療法の回数が増えればそれだけ売上があがると言うモノ。

それに「精神に変調を来している」ということは、昔なら秘すべき事であったはずだが、現代では「他人と違っている」という事は「そういう人達」にとって一種のステータスにさえなるらしい。

また、センセーショナルかつ理解不能な事件が起きると、マスコミは自分達の「報道指針」に沿った解釈を披露してくれる「御用専門家」になるべく大衆が喜んだり納得したりするような「学説」を書いてもらうらしい。

かくして、犯罪は「精神疾患」故のモノとなり、世間には医学生が学んだ事もないような「なんとか症候群」が流布される。副次的な効果として、被告は「心神耗弱」状態とされ罪を償う代りに措置入院と言う事になる。当然被害者の遺族は納得出来ず、新たな裁判沙汰がおこり、マスコミは2度おいしいというわけだ。

「狂気の偽装」岩波明・新潮社・¥1400